ギリシア
クノッソス宮殿。(4月18日/出発から7日目)
クノッソスは長い間、伝説の迷宮として語られているに過ぎなかった。神話によるとクレタのミノス王がミノタウロス(ミノス王の妃と牡牛の間に生まれた半獣)を閉じ込めるために作ったのが、迷宮ラビュリントス。しかしそれが単なる神話はなく、実在した宮殿だったことが、20世紀になってから考古学者アーサー・エヴァンスの手で明らかになる。
この迷宮を作ったとされるエダイダロスは、その秘密保持のため共に迷宮に閉じこめられ、その子共はロウで羽根を作り逃げだそうとするが、熱で溶けてしまった・・・。私たちにもなじみ深い、イカロスのことだ。
その、伝説の迷宮へ行った。
遺跡を見ているだけでは当時の様子を想像するのが難しいかも知れないが、考古学博物館の復元模型をみると、その様子がよく分かる。まさにラビリンス、巨大で複雑な建造物が、はるか3700年もの昔この地に作られ、多くの人々が暮らしていたのだ。
宮殿は神殿として機能していた西側と、王宮として機能していた東側とに分かれている。数多くの部屋、倉庫、神殿の跡に圧倒されるが、中でも興味深いのは女王の間。かわいらしいイルカと明るい色彩に、太古の女性の繊細さをかいま見ることが出来る。
ここにかつて王や女王がいて、多くの人々が牡牛を神とあがめ、独自の高度な文明を花咲かせていた。3700年前もの昔でも、人々は私たちと同じように笑ったり怒ったり、恋をしたりしたのだろう。人間の営みは今も昔も変わらない。どんな会話をしたのだろう、どんなことで悩んだのだろう・・・。3700年前の人々の様子を思い描きながら、たっぷりと早朝の散策を楽しんだ。
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