ギリシア
一枚の絵はがき『スピナロンガ』。(4月19日/出発から8日目)
街角でふと見つけた、一枚の絵はがきに目を奪われた。
小さな島が写っているだけの写真だが、その島全体が城壁で覆われ、まるで海に浮かぶ城塞のようだ。きっとベネツィアがクレタを植民地にしていた時代のモノに違いない・・・、そう思った。
ここはどこだろうと思い聞いてみると、「スピナロンガ」だという。行き方を尋ねると、ロドスからのフェリーが着岸した、あの坂道のアギオス・ニコラオスからエルンダという町まで行き、そこから小舟で行くのだという。再びあのアギオス・ニコラオスへ行くのは不本意だったが、あの絵はがきが忘れられず行くことを決めた。
スピナロンガへの道のりは、途中でマリア遺跡に寄ったり、バスの下車が上手くいかなかったりで結構大変だったのだが、スピナロンガへの船着き場がある港町、エルンダには何とか13:00前に到着した。
なるほど、湾の中州のようなカンジで、小さな島がぽっかりと浮かんでいる。小型ボートで約20分。ようやく絵はがきの島へと上陸した。
遺跡は、すばらしいものだった。
ここを押さえられては、敵は内側の港には入ってこれまい。完璧な天然の城塞だ。島はぐるりと無駄のない城壁で囲まれ、内側の廃墟には花が咲き乱れていた。島の東側は断崖絶壁、その上にがっちりとした城壁が作られ、島の西側にはかわいらしい町が、そして南側の静かな入り江には港が作られている。
あの海峡の向こうからオスマントルコ軍がやってきたのだろうが。城壁は16-17世紀に建てられたとのことなので、対トルコをねらって作られたに違いない。手元に資料が何もないのであくまでも私の推測に過ぎないけれど。日本に帰国したら調べてみたい。
ついこの間まで人が住んでいたような廃墟に、色とりどりの花が咲く。周りの海の色もとびっきり美しいので、マイナーだけどぜひ行って欲しい、そんな所だ。おとぎの国を散歩しているような気分になれる、すばらしい遺跡だった。
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