車を手に入れた私たちは、さっそく高速に乗って今日の目的地・ピラン(アドリア海沿岸の小さな港町)を目指して出発した。
でも地図をよく見ると、ピランの手前にポストイナ鍾乳洞の表示が。これって、ヨーロッパ最大の鍾乳洞じゃない・・・!!冒険家になりたかったくらい冒険ごっこが大好きな私にとっては見逃せないポイントだ。
母も行ってみたいというので、早くも本日の目的地が変更になった。途中、一度方向を間違えて再び高速に乗り直したものの、一時間ちょっとで目的地・ポストイナ鍾乳洞に到着した。
ポストイナ鍾乳洞は全長27kmにも及ぶ洞窟で、中は全部で7層になっているのだという。勝手に見学することは出来ず、見学は一時間おきにあるツアーに参加し、専門のガイドさんに連れて行ってもらう仕組みだ。洞窟内は常に8度なので、厚手の羽織るものがないとかなり寒い思いをする。
ツアーはまず、2kmほどトロッコに乗って洞窟の奥へと入っていく。これがかなりのスピードで、その辺の遊園地のアトラクションなどよりもずっと面白い。頭上には様々な形の鍾乳石が垂れ下がっていて迫力満点だ。
トロッコを降りると、英、仏、独、伊、スロヴェニア語と各言語別にグループを分け、それぞれが各ガイドに従って探検する。一口に鍾乳石といってもいろいろな形・色があってとても面白い。
洞窟内には普段は真っ暗な川の底に住んでいるという、目が完全に退化した両棲類「Proteus Anguinus」が生息しており、洞窟の最後に彼らの姿も見ることが出来る。ガイドの話に寄れば10年以上何も食べていない上に、100年くらい生きるのだとか!(ガイドブックには1年以上何も食べなくても生きられる、とあったけど・・・)
とにかく、私たちの想像を絶するような世界が、この暗黒の世界に広がっているのだった。
鍾乳洞の後は、鍾乳洞からさらに10kmほど行ったところにある洞窟城へ。
これがまた、すばらしかった。洞窟城もさることながら、そこへ至る風景、そして洞窟城を取り巻くのどかで清々しい風景が最高なのだ。
まるで、ロード・オブ・ザ・リングスの世界に迷い込んでしまったかのよう・・・。そのまま映画のセットになりそうなお城だ。中は当時の様子を再現した人形が置かれていて、不気味さもそのまま味わえる。入り組んだ城内を歩いていると、ふと人形が動きそうな気がして、かなりスリリングだった。
洞窟城のあとは進路を変更し、一路クロアチアのリエカへ。途中車で国境を越え(感動!!)、夕方にリエカへ到着。久々の運転&左ハンドル、右側通行ということもあって、母と共に口も利けぬほどぐったり。夜はパソコンを開けることもせず(こんなこと、旅が始まって以来初めて!)眠りについてしまった・・・。
みなさん!!!!
素晴らしい国に出会ってしまいました・・・。
本来は、ヴェネツィアから一度ミラノへ戻り、ミラノから北上し、アンデルマットで氷河特急に乗ってスイスを10日間くらいかけて巡るハズだった・・・。
しかしイタリアに長く滞在しすぎて、すでに3ヶ月の旅程の半分が終わろうとしていた。
ひぇぇぇ~。「地中海・中欧・東欧」がメインのハズなのに、まだ地中海どまり!!
残りの国々はどうするんじゃ~!!
と、ほえていたら、母が「じゃ、予定変えれば?」とヒトコト。
そうか、変えちゃっても良いのか!氷河特急に乗るつもりでスイスのユーレイルフレキシーパスまで買っていたのだけど、それは帰国後に払い戻ししてもらうことにして、計画を急遽立て直した。
スイスでの氷河スキーと楽しむつもりで、母にダウンジャケットまで持ってきて貰ったし、母はスキー手袋まで準備していたのにもかかわらず、スイスは全てカット。
ちょっと未練もあったのでそれらを払拭すべく、スイス関係の衣類などは全て日本に送り返してしまった。スイスへ行く気だった母、スロヴェニアなんてどこよそれ?という母には申し訳なかったが、これでもう後戻りできないのだ!!
ヴェネツィアからスロヴェニアの首都・リュブリャーナまで、列車でおよそ4時間。そのうち1時間以上はパスポートチェックにかかるので、実質は2時間半くらいの移動時間。そう、ヴェネツィアからとっても近いのだ。
それなのに、イタリアの国境を越えた途端、今までになかった牧歌的な風景が広がっていた。国境を越えただけで、こうも違うのか!!と驚いてしまう。
新緑の美しい森を越え、遠くには赤い屋根の家々が広々とした牧場に点在し、牛や山羊がのんびりと草をはむ。そんな絵本のような光景に、列車の中で母と大はしゃぎ。スロヴェニアはオーストリア、イタリアとの国境にあるユリアン・アルプスを北に、西はアドリア海に面し、イタリア・クロアチアと国境を接している。
アドリア海に面した港町では美しい紺碧の海が、そして北部では美しく険しい山々が楽しめ、小さな国土にも関わらずヨーロッパ最大の鍾乳洞がある、そんな観光資源を多く持つ国なのだ。
首都リュブリャーナはオレンジ色の屋根がかわいらしい、こぢんまりとした都市で、背後にはユリアン・アルプスがまるで壁のように立ちはだかっている。街の中心にはかわいらしいお城があって、そこからの風景はまた格別だった。
スロヴェニアといえば「それってチェコの隣??」と言われそうなほどマイナーな国だが(ましてや首都・リュブリャーナなんて地理クイズにしか出てこないような地名)、実はすばらしく美しい国。
列車からおりて首都をちょっと散歩しただけなのに、もうここに住みたくなってしまったほど!世界中200以上の都市や港に行ったと思うが、その中でもベスト5に入るくらい気に入ってしまった。
人々は礼儀ただしくとても親切、道路などもきれいに整備されていて、標識なども非常に見やすい。これならレンタカーも可能かしらと母に相談し、車を一週間借りてアドリア海沿岸をドライブすることに決めた。スロヴェニアからクロアチアへ抜け、アドリア海に点在する美しい古都を巡りながら再びスロヴェニアへ戻ってくるのだ!
明日から母との珍道中がさらにバージョンアップ!!
どうなっちゃうのか、私たち!?
明日からのレポートをお楽しみに(^^
(もちろん、ペーパードライバー&シニアドライバーのため、かなりゆっくりなドライブになること必至ですが!)
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