旅の準備 [はじまり・旅の準備]
旅の準備、調べ物に夢中だ。
現在、 南イタリア・チュニジア・マルタ方面の事前調査ページを作成中だが、この辺りはギリシア・ローマ時代から始まって地中海が最も反映したルネサンス以降までの重要な遺跡が点在し、非常に興味深い。
イタリアをさらに北上すると、一気にヨーロッパ色が濃くなる。貿易によって栄えた地中海中心だった時代から、大航海時代・絶対王政時代を迎えた近代へと文化・歴史が移り変わる様が浮き彫りになり、その壮大な歴史絵巻にめまいを覚える。
人間の営みって、本当におもしろい。
歴史は、過去にあった出来事が結果を生み、それがまた基になって、新たな結果が生み出される、その繰り返しだ。セーターの網目のように、ひとつでも事実が欠けていては結果、すなわち未来が歪んでしまう。ひとつの小さな出来事が遠因となって、大きな結果を引き起こし、それが多くの人々に影響を与える・・・、その壮大なカラクリを垣間見ているような気がする。
教科書に出てくる数々の出来事(例えば産業革命)は、それまで積み重なってきた小さな小さな出来事が土台となり、引き金となって私たちの前に現れたのだ。ひとつの出来事の陰に、いったいどれほどのドラマがあったのか。それを想像するだけで心が震える。
ヨーロッパは今まで仕事以外ではほとんどいったことが無い、未踏のエリア。
その歴史に触れることで、この旅を有意義なものにしたい。
旅のルート [はじまり・旅の準備]
「3ヶ月ヨーロッパ旅計画」の出発日が決まった。
4/12から3ヶ月、AIRはトルコ航空である。イスタンブールから出発してイスタンブールに戻ってくる予定だ。
そもそもなぜスタート地点がイスタンブールなのか??
ヨーロッパ、とりわけ東欧諸国の歴史は紀元前にまで遡るが、
私が一番好きな時代は「ルネサンス」。
花開いたのは文化だけではなかった。国のありかたも、戦争も、
宗教にも大変動があった時代だったのだ。
ルネサンスが花開く大きなきっかけとなったのは1453年の「コンスタンティノープルの陥落」。
言うまでもなくコンスタンティノープルとは現在のイスタンブールである。
私にとっては、ルネサンスの源流とも言うべき場所なのだ。
もちろんそれ以前にフィレンツェを始めとするイタリアの都市国家が
個々にその受け皿を用意しつつあったというのもあるのだけど、
それまで「暗黒時代」だったヨーロッパ、
特に国際的なイタリアに多くの文化人がコンスタンティノープルから
過去の遺産(知識)を持って亡命したというのが大きい。
キリスト教が支配する中世ヨーロッパではすっかり忘れ去られてしまった
ギリシアやローマ時代の科学技術や文化が、
ひょんなことからヨーロッパに「逆輸入」されたのだ。
(当時はイスラムの国々のほうがずっとレベルが高かった!)
14世紀から徐々に広がり始めたこの「再生」の動きは、15世紀、
16世紀とヨーロッパ全土に広がった。
それは神に支配されていた人々の、人間としての自由への飛躍の時代であり、
近代ヨーロッパ史の幕開けである。
塩野七生氏は言う。「強烈な批判精神と好奇心、これがルネサンスの本質である」と。
イタリアでは高度な文化が発展し、東西貿易のおかげでヴェネチアなどの
地中海最強の海運国が誕生したが、
15世紀になるとフランスやスペインでは絶対王政の確立が促され、
そのパワーは絶大なものとなり、
ヨーロッパ北部では宗教改革が起こり、
ローマを中心とするキリスト教世界の秩序が乱れ、
また、オスマントルコ帝国が地中海の制海権を握り始めると、
今度は新しい航路を求めてスペインやイギリスが競い合い、
大航海時代のピークへと達する。
ルネサンスでは最盛を誇っていたイタリアも、
いつしか上記の事情で、急速に衰えてしまう。
地中海世界はこうして終焉を迎えることになる。
ルネサンスは、こんなオモシロイ時代なのだ。
私の予定ルートには、こうした歴史上重要なポイントが点在している。
当時に思いを馳せ、地中海を旅してみたい、そう思う。
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