トルコ
ついに、イスタンブールへ。(7月7日/出発から87日目)
ブルガリアの首都・ソフィアで、列車がもうすぐ出るというのにまだ迷っていた。
ソフィアから19:00のバスでマケドニアへ行くか?
それともイスタンブールへ19:15の列車で向かうか?
昨日からずっと迷っていたことだけど、直前になっても答えが出ない。
マケドニアのオフリド行きのバスは朝の5時到着。
うーん、今日だけですでにバスに4時間以上乗っているのにきついなぁ・・・。
考えている内にだんだんそう思えてきて、結局イスタンブール行きのチケットを買いに走った。
ところが、列車は何と6時間遅れての到着。ヘトヘトになりながら、夜中の1時に列車に乗り込むハメになってしまった。
懐かしいイスタンブールに到着したのは既に夕方。
駅を降りると、今までのどの国とも違う、独特の熱気に満ちていた。
遠くのモスクからコーランを詠唱する声が聞こえる。
ボスフォラス海峡からは船の汽笛が聞こえる。
三ヶ月に及ぶ旅は、このイスタンブールで終わりを迎える。
イスタンブールは私にとって非常に感慨深い場所だ。
初めての海外旅行がこのトルコで、初めて飛行機から降り立った外国がこのイスタンブールだった。霞がかったマルマラ海、街のあちこちから延びるミナレット。行き交う人々も、そのざわめきも、何もかもが珍しくて感動したものだ。
旅行会社で働くようになって、"旅"がただの商品となり、旅に対する感動が薄れたときは、いつもこの時の感動を思い出すようにしていた。イスタンブールは、だから、私の旅の原点のようなものだ。
その原点に、再びこんな気持ちでこの地に経つことになろうとは。
どこを歩いても、何を見ても、初めてこの地を訪れたあのときから今までの10年間を振り返ってしまう。10年前の私には、今の私は全く想像できなかった。そして同じように、今の私に10年後の自分は全く想像できない。
再びこの地に立つとき、私は一体どんな私になっているのだろう。
過去と現代が交錯するイスタンブールは、こんな物思いに耽るのにぴったりな都市。
旅の終わりに、このイスタンブールを選んだのは正解だった。
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