クロアチア
幻の「パグレース」を求めて。(6月2日/出発から52日目)
先日手に入れたダルマチア地方(クロアチアのアドリア海沿岸)の写真集の中に、「パグレース」なるものの写真があり、母がそれをめざとく見つけた。
母ときたらこの手のモノに目がない!!
レースだの刺繍だの織物だの何だのと、その手のモノが大好きなのだ。
母自身は自称人形作家で、日本人形やら西洋人形やらをせっせせっせと作っている。
「パグ島はどこにあるのかなぁ?この近くにあるんだったらフェリーで立ち寄っても楽しそうよね♪」と、すでに行く気満々。地図を広げて場所を確認すると、ザダールというアドリア海沿岸の真ん中にある街の側で、橋でパグ島へ簡単に行けるようだ。パグ島はアドリア海沿岸に張り付くようにある細長い島で、島の北部へ行けば再びフェリーで本土へ戻れることも分かった。
よし、単に本土を北上するよりも、島を北上してフェリーで渡った方が絶対面白い!と私も大乗り気でこの日のドライブはスタート。パグ島に関する情報はこの時点で何もない。あるのは一枚の写真で、女性がレースを編んでいる姿だけ!!トロギールからシベニクに立ち寄った後、高速を降りてこの「パグ島」なる未知の島へと渡った。
本土から島へ橋で渡り、北上を続ける。道は狭くて多少ガタガタだが、その風景は本土とは全く違って素晴らしい。思ったよりも簡単に目的地に着くことが出来た。クロアチアにしろスロヴェニアにしろ、道路標識が非常にしっかりしているので、地図がなくてもほとんど迷うことなく目的地に着くことが出来る。戦後間もないこともあり、道路が所々完成していないところもあるが、現在着々と建設中で今後の道路状況はさらによくなるだろうと思う。
パグ島の中心・パグはドイツ人やイタリア人が訪れるちょっとしたリゾート地で、澄み切った海岸線を持つ街だ。まだ6月の頭だが、既に海水浴できるくらい気温はあがっていて、ホテルにチェックインしたらさっそく泳ぎに行ってしまったほど。ホテルの人は日本人は初めてだと言っていたから、隠れたアドリア海のリゾート地だ。
パグ・レースは一体どこにあるんだろう?と街を歩いていたら、レース博物館を発見。ところがシーズンオフのため、今は開いていないのだという。「博物館はダメだけど、この通り沿いに歩いていけばおばあさんがいて、彼女がきっと編んでいるから見せてもらいなよ」とバーのお兄さん。さっそくその通りへと出かけてみた。
パグはとっても小さな街で、中心に教会、その横に例のレース博物館がひっそりとある。その中心からちょっと入った路地に、そのおばあさんの家はあった。窓をのぞき込むと、小さなおばあさんが独特の道具を使って一生懸命レースを編んでいた。その指裁き、見事!!まるで人間国宝だ。パグの女性が独特の民族衣装を身につけてレースを編んでいる様子を、その後別のパンフレットや写真集で見かけたので、ここのレースはクロアチアの中でよっぽど有名なのだろう。
こういった細かい細工が大好き&詳しい母曰く、「すばらしいもの」。お値段もやはり相当で、母は欲しいけど・・・と一晩悩んだが、最終的にその芸術品を手に入れた。繊細なそのレースは、大きなもの(左の写真)を編むのに6ヶ月以上かかるのだという。
何の情報もなかったパグ島だが、シーフードは最高、人々はハートフル、刺繍は素晴らしく、景色も文句なし、という滅多にない素朴でステキな場所だった。レースを求めて・・・、そんな旅もおもしろい。
クロアチア
2005年06月05日 02:29
yoshii
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