イタリア
1,000年の邂逅。「前代未聞のコラボ企画 in アッシジ」(5月14日/出発から33日目)
すごいイベントがアッシジの聖フランチェスコ聖堂で行われたことは先日の日記の通り。あんまり運が良くて卒倒しそうだ。本当にたまたま、開催日に居合わせただけなのだから!
お坊さんと神父さん、そして雅楽師による前代未聞のコラボレーションは、聖フランチェスコ聖堂の上部教会で行われた。
上部教会は、ジョットの見事なフレスコ画で有名で、日本人も大勢訪れるアッシジのメイン観光スポット。信者にとっては今でも聖フランチェスコが眠る大切な聖地で、何百年も前から数多くの人々が巡礼に訪れている場所なのである。
その夜は、内部が美しくライトアップされており、感動的だった。昼間よりもずっとジョットの絵がはっきりと見えるし、何より薄暗い日中よりも、おごそかな雰囲気だ。コンサートが始まると、客席側のライトは落ちて、舞台にスポットがあたる。グレゴリオ聖歌隊の賛美歌の後、山伏のホラ貝が会場内に鳴り響き、そして袈裟を身につけたお坊さんの入場が声明と共に始まった。
う~ん、すごい。。
目を開ければそこは大聖堂、つぶればそこはお寺の中。
摩訶不思議な空間が、そこにはあった。
ふと気づくと、隣に人が立っている気配。
な、何と東儀秀樹、その人だった!
白地の袍がまぶしい烏帽子直衣姿の彼は、微動だにせず口元に笙をあてている。そこだけまた、別の次元につながっているようだった。
笙(しょう)の演奏が始まった。
17本の竹から構成される笙はパイプオルガンのルーツとも言われているが、今までそれを意識して聞いたことは無かった。しかし今回は本当に驚かされた。始めは雅楽の旋律だったと思う。気が付くとそれはグレゴリオ聖歌のメロディーになり、それに合わせて聖歌隊がうたいだした。その音色はまさに、パイプオルガンそのもの。笙は循環呼吸で演奏されることも初めて知った。普通フルートなどの管楽器は1メロディー吹いたら息継ぎをするものだが、笙は息継ぎがなく常に音が出ている状態なのだ。つまり、息を楽器に吹き込みながら同時に呼吸をしなければならない。
ちなみに、お経に節を付けて歌う天台宗の声明とは世界最古の典礼音楽で、雅楽は世界最古の合奏音楽、またグレゴリオ聖歌も7世紀には確立されたという。どれも1000年以上の歴史を誇る古い音楽で、それが一堂に会したのだった。
グレゴリオ聖歌の終わりの方で、天台宗の声明が重なるように入り、さらに東儀氏の演奏が入る。この先滅多に聞けないようなハーモニーがこの特別な大聖堂で聴けるチャンスを、心から楽しむ一晩となった。
翌朝は早起きして朝のミサに出かけた。前日、出会った日本人の神父・ルカさんが「信者じゃなくても参加OK」と言ってくれたからだ。数ヶ月前だっただろうか、NHKのドキュメンタリーで、イタリアのパイプオルガン職人を取り上げた作品を見て以来、イタリアに行ったらぜひ聴いてみたいと思っていたが、そのチャンスにはまだ恵まれていなかった。それが実現したのだった。
何とオルガン奏者はルカさんその人だった!
昨日とは違う、下部教会で行われたミサは厳かそのもの。
パイプオルガンが教会内に響き渡り、それに合わせて神父たちが地の底から響くような低い声で唱和する。
ああ、何て神への祈りの歌というのは美しいのだろう。
賛美歌も、お経も、コーランも、それぞれに美しい。
人間の信仰心が生み出す、特別なものだからだと思う。
パイプオルガンと歌がやむと、教会内は静まりかえる。
外からは鳥のさえずりが聞こえてきて、本当に天国のような空間だった。
*写真がなくて残念。聖堂内は写真撮影禁止なんです!!
MAOさん
文章読んでいるだけでそこの雰囲気が伝わって来ますよ!素晴らしいですね。
何と文章表現が上手いのだろう・・
MAOさんは色んな事をよく知っていますね!
次が楽しみだ・・
それにしても最初からそんなスケジュールでしたっけ!ゆっくりのんびり素敵な旅ですね。
noriさん
2005年05月17日
00:02
すっごいラッキーですね!私も数年前にアッシジに行きましたが、ほんとに素敵な街ですよね?緑の平野を見下ろす感じが忘れられません!メルマガにも宣伝しておきましたよ!お暇あれば、読んでみてくださいね!
2005年05月17日
15:46
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文章読んでいるだけでそこの雰囲気が伝わって来ますよ!素晴らしいですね。
何と文章表現が上手いのだろう・・
MAOさんは色んな事をよく知っていますね!
次が楽しみだ・・
それにしても最初からそんなスケジュールでしたっけ!ゆっくりのんびり素敵な旅ですね。
noriさん