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旅行と恋愛
永井荷風「ふらんす物語」的

ルクサンブル公園
すでに夜中の1時を回っていた。ユースは夜11時から朝の7時までフロントがクローズされる。タクシーで帰っても宿に入れないならエッフェル塔からバスティーユまで歩いて帰ろうということになった。

エッフェル塔の前にあるシャン・ド・マルス公園をぬけて、モンパルナス駅に向かう。スペイン行きの駅を教えるためだ。夏だというのに夜は肌寒い。歩き始めると手を自然につなぐようになっていた。モンパルナスからリュクサンブール公園へ。ソルボンヌ大学が近いということもあり、学生らしい姿があちらこちらに見られる。リュクサンブール宮殿の前にある噴水のヘリに腰掛けた。二人ともずっと歩きつづけでさすがに足が疲れた。
しばらく無言が続く。何もしゃべらなくてもあまり気にならない。

リュクサンブール公園

「明日は何してる?」

突然、話始めた。

「まだ、決めてない。日本行きの航空券も探さないといけないし。」
「マルモッタン美術館行かない?」

私たちはお互い、睡蓮で有名な“モネ”のファンということが道すがらの会話でわかっていた。本当は、オランジェリー美術館の壁面を覆い尽くした「睡蓮」をみにパリにきたのだが、2008年まで閉館されている。パリについてこの事実を聞いて、正直愕然とした。ただ、モネの作品を集めたマルモッタン美術館は開館している。

美術館は基本的に一人で行くのが好きだ。好きな絵の前で何時間も眺めていることができる。普通なら断るところだが、モネの「日の出」という作品も好きという共通点があることも知っていたので一緒に行くことに決める。

「じゃあ、行こうか。」

リュクサンブール公園の雰囲気にも負けた。
セーヌ川の真中に浮かぶシテ島のノートルダム寺院を通り、ユースについたのは朝8時だった。夕方4時から朝の8時までパリを歩いて横断した。長い一日だったな・・・
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category旅行と恋愛  time2005年07月21日 16:21

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