ストーリー形式で連載中?です!
とにかく、眠い。夜行列車に乗っていたものだから、睡眠時間が足りない。なぜか?女性が一人旅でスペインのマドリッド経由で夜行列車に乗るということは少しなりとも危険がともなう。私は列車に乗ってる間ずっと寝ているフリをしていた。
無料の朝食を食べ終わった私は自分のドミトリーへ(共同部屋、通常4~8名一室で二段ベッドが並ぶ部屋)。入り口に近いベッドしか空いていなかっためそこに荷物をおいて、すぐに眠りに落ちた。
ずいぶん、寝たようだ。窓からさす光がオレンジ色になっている。のろのろと起き上がり、キッチンへ。
確か、冷蔵庫にジュースを入れたはず・・・
キッチンには誰もいない。
今日は、フランス革命の日。みんな、シャンゼリゼ通りのお祭りに繰り出してるはず。私も今朝の日本人4人組に誘われたが、疲れがぬけないのと人ごみに入る気にはならなくて断っていた。2週間ほど、モロッコの砂漠で生活していたため、久しぶりの人ごみはひどく疲れる。
駅のツーリストインフォメーションでもらったパリの地図を広げ、ジュースを飲む。
「明日はモンサンミッシェルにでも行こうかな?」
とつぶやきながら、トーマスクック(ヨーロッパ全土の電車の時刻を網羅している)を眺める。私はトーマスクックを眺めてる時間が好き。いろんな場所にすぐにでもいけるような気持ちがするから。
すると、人影が近づいてきた。
「すみません。そのトーマスクック見せてもらってもいいですか?」
顔をあげると今朝見たあの窓際の少年だった。答えないで、ボーっと顔を眺めていると
「あの、日本人ですよね?そのトーマスクック見せてもらえるとうれしいんだけど」
「あ、はい。どうぞ。」
「突然、すみません。スペインのバルセロナに行きたいと思ってるんですけど、パリって駅がいっぱいあるでしょ?どこの駅にいってどのチケットを買ったらいいのかもわからなくて・・・」
ちょうど、スペインから帰ってきたばかりの私。
「モンパルナス駅に行くと大きいインフォメーションがあるよ。行ってみたら?」
「そうなですか?早速、明日行ってみます。ところで、今日、お祭りですよね?行かないんですか?」
「うーん、ちょっと疲れてるし、人ごみに入る気にもなれないから今日はここにいようかな?」
「じゃあ、無理に誘ってもだめかな?僕は行きたいと思ってるんだけど、お祭りに一人でいくのもなんだなと思ってて。もうちょっと早めに起きてキッチンで誰か誘おうと思っていたら寝過ごしちゃった」
寂しそうな目に負けた私
「じゃあ、いこっか!準備してくるから待ってて」
結局、私はフランス革命のパレードを見にシャンゼリゼ通りに彼と向かうことになった。