「水に似た感情」 著者:中島 らも
若いサーファーから30代OL、また癒しを求める50代熟年夫婦まで人気エリアのバリ。
昨年、テロ事件などが勃発した関係で観光客が少なくなってきている。今年は復興状況を見がてら、バリを訪れてみたいと思い新年に読み返した本。
人気作家モンクは友人のミュージシャン ソトたちとテレビの取材でバリ島を訪れる。撮影が進むにつれモンク自身の躁鬱と、スタッフの不手際に悩みながらも、呪術師を取材し超常現象を体験する。第二部は日本に帰ってからの体験とまた違うメンバーで訪れる二度目のバリ。
人物のキャラクターも個性が強いものが多く、あきない。それよりも中島さん本人が実際に体験したバリを時系列は変えながらもそのまま臨場感たっぷりに小説の中に組み込まれているのがおもしろい。
宗教、音楽、食べもの・・・自分がその場にいるかのような錯覚を起こしてしまう。
バリが
「神に一番近い島」と呼ばれている理由がわかるな~と思う一冊。
行ったことがない人はバリはこういうところなんだ~と思え、行ったことがある人は、確かに・・・と納得するのではないか?
宗教と音楽に重点を置いている本なのでバリ音楽を聞きながら読むと雰囲気がでるかもしれない。
ただ、あとがきにも書いてあったが作者自身も主人公のモンクと同じ状態躁病、鬱病の中で書いたとあってちょっと理解不能なところがあるのが残念。
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